簡裁判事として,急遽,民事事件を担当することになった。 その事件は,原告本人訴訟であったが,その原告本人には前任の裁判官も司法委員も相当,手を焼いていたようであった。 事件記録をみると,確かに,大変そうである。訴訟マニアというほどではないが,原告本人の書いた訴状や準備書面は,いろいろと難解な法律用語を用いているものの,基本的な概念には誤用や誤解にもとづくものも多く,そもそも契約に対する基本的な理解がおかしいように思われた。とにかく,事実関係だけでも把握しなければと思い,苦労して判然としない主張を読み解いていくと,要するに,原告は,下請業者として2年半近く,大手の建設業者から毎月,様々な内装工事を受注していたのであるが,ある日を境に,ぱったりと仕事を回してくれなくなった。それで,その大手の建設業者を相手に,業務委託契約を一方的に解除されて,損害を被ったとして,80万円の請求をしていることが理