都内のホームセンターで昨年5月、女性を包丁で刺してけがを負わせたとして、殺人未遂罪に問われた無職、金子正幸被告(40)に対する裁判員裁判の初公判が31日、東京地裁(若園敦雄裁判長)で開かれた。金子被告は、自分は被告ではないという趣旨の発言や、起訴状と異なる生年月日を口にして無罪を主張。弁護側は「心神喪失」として公判停止を求めた。 初公判前に争点などを絞る「公判前整理手続き」の段階では殺人未遂事件を犯したという事実関係や、事件当時の責任能力について争いはなかった。初公判での突然の無罪主張は異例。 検察側は冒頭陳述で、「公判前の精神鑑定では『責任能力に問題はない』という結果が出ている」と指摘したが、弁護側は公判の後、「事情が変われば仕方がない」と責任能力について争う可能性にも含みを残した。裁判員は難しい判断を迫られることになりそうだ。