理化学研究所によるSTAP細胞作製の発表は、ノーベル賞の対象となった「iPS細胞」と比較した資料までを用意し、「動物発生の常識を覆す」とうたう大がかりなものだった。 1月に英科学誌ネイチャーに掲載された論文では、iPS細胞への言及は、体の細胞を受精卵のような状態に戻す初期化の例として紹介した程度。だが、理研発生・再生科学総合研究センターが論文掲載に合わせて開いた記者会見で配った資料では、iPS細胞の作製効率は0・1%以下、STAP細胞は30%超などと対比していた。 共著者の笹井芳樹副センター長は、iPS細胞の作製原理は「強制的」だが、STAP細胞は「外からの刺激で自発的にできる」と解説した。 iPS細胞を作製した山中伸弥京都大教授は2月に記者会見し、作製効率は現在では格段に上がっていると反論。「なぜ当初のiPS細胞と比較されたのか、残念だ」と話した。 科学と社会の問題に詳しい榎木英介近畿大