前回の続きから。 IBMがコンピュータービジネスに参入したのは、1950年代半ばの話であり、ワトソンジュニアの英断によるものだった。この50億ドルを投じた賭けは「360」と呼ばれるプロジェクトになった。 これは、まったく新しいメインフレームコンピュータープロジェクトであり、大胆な計画だった。 この計画の凄い点は、 「過去のIBMの製品ラインおよび競合他社の製品全てを駆逐するもの」 だった事だ。 こういった、自社の製品ラインすら駆逐しかねないプロジェクトを平気で開始できるのが、当時のIBMの凄さである。 その理由を述べる前に、当時のメインフレームコンピューターの欠点を述べないといけない。 まず、1950年から1964年までは、当時のコンピューター各種には、二つの決定的な欠点があった。 一つ目は、真空管がコンピューターの中心に使われていたことだった。真空管は、壊れやすく、また場所をとった。これ