今と違って、家にテレビがやってきたのは物心がついてからだ。テレビ放送が始まったのは昭和28年だが、受像機は年収の何倍もする高価なものだったので、なかなか家にはやってこなかった。 子供のころにすぐに夢中になったのは実写のスーパーヒーロー物だ。『スーパーマン』といった輸入物ヒーローや、『ナショナルキッド』、『少年ジェット』などの和製ヒーロー物もよく見たものだ。 こうした、人間以上の能力を発揮するヒーローは子供のあこがれの的だった。いつかは自分も空を飛べるかもしれないなどと、風呂敷をマントにして塀から飛び降りたりしていたのだ。 もう少し大きくなると、スーパーヒーローは「宇宙人」だったりするために超能力が使えることが、番組内で「説明」されていることが理屈としてわかるようになる。いくら自分たちが努力してもスーパーヒーローにはなれないのだ。 「ちぇーーー!」などと、口をとんがらせた子供となった。 そう