動物の世界の生体コンピュータ、神経系・脳は、多様性に満ちている。神経系が地球上の動物に出現して、様々な神経系に変貌をとげ、多様な神経系が繁栄している現在までの神経系の歴史を考えてみよう。これは、壮大な神経系の起源と進化の物語である。 ニューロンの出現 神経系の系統図を考えてみると、系統樹の頂点に、微小脳をもつ前口(旧口)動物が、もう一方に巨大脳をもつ後口(新口)動物の哺乳類がそれぞれいる。前者は、中枢神経系が腹側神経索よりなる腹側神経系動物(ガストロニューラリア)で、後者はそれが背側神経索よりなる背側神経系動物(ノトニューラリア)である。系統樹の根元の方に腔腸動物がいて、体中を網目状の神経網が走り、脳や神経節をもたない単純な神経系、散在神経系をもつ。 動物の進化を考えると、原核単細胞生物から、真核単細胞生物、無胚葉性多細胞動物、二胚葉性多細胞動物、三胚葉性多細胞動物の順に進んできたことは間