もう10年以上前になるが、あるクライアントのために20分ほどのショートフィルムを作ったことがある。 ネット上に限定的に公開する動画で、専門用語で言うなら「ブランデッド・エンターテインメント」というジャンルのものだ。 ニューヨークのクリエイターたちと組んでの制作で、その総合ディレクションを担当した。ストーリーから演出、編集までかなり踏み込んでディレクションする役割だ。 真冬の軽井沢とチェコでロケをし、ニューヨークで1ヶ月以上かけて編集する、という、なかなか豪華に見える仕事だったけど、まぁとんでもなく苦労した。苦労の甲斐あって編集が終わったときは本当にうれしかった。 その編集済みの動画を、東京に帰って、まず先輩に見せた。 その先輩はそういうクリエイティブに関しては一家言もっている人だったので、クライアントに見せる前に意見が聞きたかったのだ。 見終わった先輩は、ゆっくりとボクのほうを向くと、こう