昨年のコラムで人口減とデフレには何の相関もないことを書いた。しかし、年末年始に「日本のデフレは金融緩和の効かないもので、その原因は人口減による供給過剰である」という「デフレ人口原因論」が多く出ている。読んでみたが、一言でいえば、デフレという用語法の間違いである。 デフレとはdeflationの日本語訳で、その意味は「一般的な物価水準の持続的下落」。国際機関などでは、GDPデフレータが2年続けてマイナスの場合をいう。 ここで「一般的な物価水準」というのは、個別品目の価格ではなく全品目の加重平均である物価指数を指す。この意味で「deflation」はマクロ経済現象の話だ。 ところが、デフレ人口原因論での「デフレ」は、耐久消費財などの個別品目の価格の下落を意味している。この「デフレ」は、「deflation」とは違う現象である。要するに、ミクロ経済現象をマクロ経済現象と混同しているのだ。