さぶちゃんオン・ザ・ロード 先日、タクシーでのお話。 やっぱ僕は気遣いの男なんでネ タクシーに乗ったときのこと。 かなり高齢の男性と見受けられるその運転手さんは走り出すとすぐに世間話を振ってきた。飲み会の後だったのでちょっとウトウトしたい気もあったけれど、そこは根っからの気遣いの男である。楽し気に話しかけてくる運転手さんのご機嫌に合わせて僕はつつがなく受け答えをしていた。 「私、さぶちゃんが大好きでしてねえ。お客さん、わかります? さぶちゃん」突然話題が変わった。 ここで「北島三郎さんのこと?」なんて自信なさげに問い返すのはどうにも無粋な気がする。運転手さんもあまり良い気はしないのではないか。気遣いな男である僕は、まあ間違いはないだろうと自信たっぷりを装って「ずっと紅白に出続けて欲しかったですよね!」なんて言ってみる。 「あ、お客さん、嬉しいこと言ってくれるねえ。やっぱりそう思いますかぁ」