この冬休みにも何冊か本を読みました。 この読書生活の中で、もっともガツンときた本が宮部みゆきの『火車』。基本、ミステリーは苦手で謎解きにもさほど興味はありません。だから「伏線の回収がお見事」とか「トリックが秀逸」とか「終盤で何度も物語がひっくり返る」と言われてもあまり惹かれません。 どちらかというと、どろどろした人間模様とか、キリキリとした社会の不条理などを臼の中でウリャウリャとこねたような話がお気に入りです。例えば吉田修一の『悪人』とかヤンソギンの『血と骨』とかかな。東野圭吾の『さまよう刃』とか。その追い込まれた状況の中で人間はどう考えるのか、という部分が描かれていたりするとゾクゾクします。 『火車』は社会派ミステリーと言われている部類とネットで読み、少し期待して手に取りました。 これ、おもしろい。 一人の行方不明者を追っていくと、多重債務の末に自己破産した若い女性にたどり着く。しかし、