いろはかるたを、最近はあまり見かけない。近所の店に行っても、あるにはあるが目立たない。「子供向け、ことわざかるた」や「子供むけ、四字熟語かるた」のほうが目立っている。「試験によく出る」と謳われたものが。百人一首は根強い人気を持っているようだが。 私が義務教育を受けていた1970年代、年末が近づくと、いろはかるたをよく目にしたものだ。 近所の駄菓子屋にいろはかるた(犬棒かるた)が置かれるようになって、「正月が近いな」と子供心にも思ったものだ。小学生向け学年別雑誌の付録にもあった。 「読み札に書かれている文に、特別な意味が隠れている」ということが、子供時分の私には奇妙なことに思えた。例えば、「京の夢大阪の夢」という読み札は、当時の私には「言語明瞭、意味不明瞭」に思えた。 百人一首も、駄菓子屋や小学生向け雑誌の付録にあった。しかし、当時の私には、百人一首よりもいろはかるたのほうが魅力的に思えた。