入社時期が近い十人ばかりと飲んでいて最近どうよと訊かれたのでふつうと彼はこたえる。そっちはと返すとがんばってるようとマキノはこたえてビールをごくごく飲んでいる。両手でジョッキを持って慎重に飲んだりしない。二の腕が太いと彼は思う。二の腕が太い、色が白い、鎖骨が太い、笑うと小じわが多い。わかっていたら笑わないはずなのに平気で笑うからきっとわかっていないんだろう。 近況を訊かれて当然のように仕事の話って荒んでるんじゃないと別のひとりが言い、そうかあとマキノが感心する。うん、ご家庭とか彼氏彼女とかそういう話したほうがいいよねえ。こいつら俺の彼女の話なんか聞きたくもないくせになんでそういう質問するかなと彼は思う。それからこたえる。飲み屋の姉ちゃんとつきあってる。すてきとマキノは言う。バーテンダーさんとかかしら。彼は呆れてキャバ嬢キャバ嬢とこたえる。いいねえ、つけ睫毛ついてる?髪の毛盛ってる?ぜんぶの