イエス・キリストと聞いたらどんな顔をイメージするだろうか? 頭のなかでちょっとスケッチしてみよう。そしてそのイメージがどこから来ているかも考えてみよう。こうした「表象」の問題が、いま問い直されている。なぜなのか? ルネサンス期のイエス像の変遷を専門とする美術史家が解き明かす。 人種差別の遺産をめぐって反省がなされているいま、イエスが白人のヨーロッパ人男性として描かれてきたことに再び厳しい視線が注がれている。 アメリカでは南部連合にまつわる記念像の撤去が叫ばれたなかで、活動家のショーン・キングはさらに踏み込み、「白人イエス」の壁画や芸術作品も「下ろされる」べきだと主張した。 「白人イエス」の描写と、またそれがいかに白人至上主義の擁護に使われているかを懸念しているのは、キングだけではない。著名な学者たちや、イギリス国教会のカンタベリー大主教も、白人男性イエスという描写の再考を呼びかけている。