特許を取り巻く環境の変化は,日本の製造業が直面する課題を映し出している。特許の権利を行使しにくい日本,知財大国を目指す中国,そしてインターネット…。「プロパテント(特許重視)」の掛け声の下,特許を強化してきた日本メーカーはどこに向かうのか。 ひとつ,また一つと日本で特許が消えている。消える舞台は,特許侵害訴訟の法廷だ。一度独占権を許された技術の評価が180度変わり,効力を失う例が相次いでいる。 凸版印刷で知的財産業務に長年携わる萩原恒昭氏(法務本部 本部長)は,“消える特許”を体験した当事者の一人。3年半前,被告側として挑んだ特許侵害裁判で,大日本印刷の特許を無効とする判決を逆に勝ち取った。カギは,凸版側が提示した二つの技術資料。そこには,大日本の特許の進歩性を覆す先行例が記されていた。 この数年,凸版と大日本は,それぞれが保有するエレクトロニクス関連特許の有効性を巡る訴訟で,勝ったり負け
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