08 本物と偽物｜出版社トゥーヴァージンズ（TWO VIRGINS）［編集部からの連載ご案内］ 白と黒、家族と仕事、貧と富、心と体……。そんな対立と選択にまみれた世にあって、「何か“と”何か」を並べてみることで開けてくる別の境地がある……かもしれない。九螺ささらさんによる、新たな散文の世界です。（月２回更新予定） たとえば贋作とは、上手すぎてバレるのでは、と思う。 本物のピカソの絵は、きっと所々下手で、それが本能的にリアルに感受されるということなのだろう。 リアルとは、上手さと下手さの、ちょうど良いバランスのことなのでは、と思う。 それが光と影のように、画面に現実感、つまり感覚の立体感をもたらすのだ。 本物とは、画面の画素の濃淡がリズムとなり、絶妙なハーモニーを醸し出しているのだ。 そのことを、質の良さ、クオリティーの高さと言うのだろう。 「何とも言えない感じ」とは、この点在する「抜け」によって生み出されるのではないだろうか。 抜けとは、言わぬが花的、ジグ
激化する「偽の香水」を巡る闘いと、テクノロジーで対抗する高級ブランド
