諸民族の文化に認められる多様な政治現象を比較研究する文化人類学の一分野。主要な政治現象としては,統治の構造,権威と権力の集中と配分および制度化の程度,各種集団の意思決定過程,またそれら集団間の支配,敵対,同盟などの諸関係,さらには民族統一や国民形成などがあげられるが,これらのいわば古典的政治現象に対して,今世紀半ば以降,新しい展開がみられた。それは第三世界の独立国における国民形成,宗教ないしイデオロギーの違いによる国際緊張,南北国家間の経済格差などの諸問題であるが,これらの問題を通じて比較文化論的アプローチの重要性がしだいに認識され,比較的新しい研究ジャンルである政治人類学の方法が注目されるに至った。国家間の経済問題に文化摩擦の視点を加えることなどもその一つの例といってよいだろう。 伝統的に人類学は西欧文化から見た非西欧の異文化,とくに無文字社会のそれをおもな研究対象としており,成文法をも
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