大学は目下、期末試験の季節である。私は放送大学の客員教授も務めており、「現代日本の政治」という科目を担当してきた。今学期の試験には、「小泉政治の五年間で自民党はどう変わったかを論じよ」という問題を出した。放送大学の学生の大半は、知的関心を持つ一般市民であり、この試験答案では、その人々に政治の現状認識を言語化してもらう機会となり、ある種の世論調査を行ったような興味深い結果が得られた。人々は小泉政治のどこを評価し、どこに疑問を感じているかが分る。また、その裏返しとして、安倍政権の不人気の理由も見えてくる。 小泉政治に対する肯定と否定の比率はおよそ六対四で、小泉政権が高い支持を持続したことはこの点にも現れている。小泉政治を高く評価する最大の理由としては、政治に対する関心を高めてくれたことをあげる声が大きかった。そして、派閥政治の弊害や官僚支配を打破したことを小泉政治の成果とする意見が目立っていた