→紀伊國屋書店で購入 「アメリカの政治理論のよくできた見取り図」 この書物は『現代政治理論』と題されてはいるが、あまり正確ではないかもしれない。あくまでも英米の、というよりもアメリカの政治理論の分析と考察なのである。フランスの政治理論もドイツの政治理論もほとんど視野に入っていない。しかしローカルなだけに、アメリカの論争については、きわめて詳細に分析されている。 アメリカではロールズが『正義論』を発表したことで、政治哲学に関する議論が急に活発になった。この書物でもこれを避けて通ることができないために、第二章で功利主義、第三章でロールズとドゥオーキンの「リベラルな平等」理論、第四章でノージックなどのリバタリアニズム、第五章でマルクス主義、第六章でサンデル、ウォルツァー、マッキンタイヤ、ベル、テイラーなどのコミュニタリアニズムと、さまざまな議論を紹介している。 すでに有名になった論争だが、本書は