「非正規で長く働いてきました。体に負担のかかる仕事ばかりで、どんなに頑張っても、月給は20万円に届かない。結局、転職の繰り返し。しかも精神疾患を患い、自宅にひきこもりました」――。 そんな書き出しで始まる投稿が6月、朝日新聞に届いた。「中高年ひきこもり61万人」の特集記事を読んだ、千葉県の男性(50)からだった。新聞投稿が、唯一の生きている証し。そう書いてあった。 男性の自宅を訪ねた。幹線道路沿いにある、築20年を超す木造家屋だった。70代の母親と2人暮らし。寝起きしている2階の自室の窓から、通りの車の音が、かすかに響く。本棚には「非正規社員」「転職」関連の本があった。 自己否定と将来の不安 「ウチしか居場所がない。年を重ねて、就労が難しいこともわかっている。結婚は絶望的でしょう。これからの生活や老後を考えると、胸が苦しくなる」。8畳間の畳の上で、男性は、自己否定の思いと将来不安にじっと耐