日本人に親しまれてきたウナギとマグロが近い将来、食べられなくなるかもしれない。生息数の激減で漁獲や取引の世界的な規制強化が確実視されているからだ。そんな状況を打開しようと、政府は天然資源に頼らない完全養殖の大規模な商業化を平成32年までに実現する方針を決定、国を挙げた研究が進んでいる。 国際自然保護連合(IUCN)は7月、乱獲で激減しているニホンウナギを、絶滅危惧種としてレッドリストに載せるか本格的な検討を開始した。クロマグロは22年のワシントン条約締約国会議で国際取引の全面禁止が提案され、日本などの反対で否決されたが、漁獲量管理の厳格化を求める国際世論は強まっている。日本の食文化を絶やさないためには養殖が不可欠だが、天然の稚魚を育てる普通の養殖は、結局は天然資源の動向に左右されてしまう。抜本的な解決策は成魚から採卵して人工授精し、また成魚に育てる完全養殖の実用化だ。 ウナギの完全養殖