この春、東京藝術大学を主席で卒業したアーティスト/ラッパー・なみちえのアルバム『毎日来日』が大反響を呼んでいる。2019年末に自主制作盤CDRとして制作された本作は、2020年3月13日に待望の配信リリースが開始された。 なみちえの表現の基底にあるのは、自身が受けてきた差別の記憶である。同日にリリースされた「移民者ラッパー」Moment Joonのアルバム『Passport & Garcon』と共に、2020年を代表する1枚になるはずだ。 受けた傷を鏡のように提示するラッパー・なみちえの表現 2019年、「Youは何しに日本へ?」という問い――「面白外国人」(原文ママ)への取材をうたったバラエティ番組のタイトルである――を題材に曲を書いたラッパーがふたりいる。ひとりは「お前を殺しに」と回答し、ひとりは「さっさと俺の前から引っ込んで」と回答した。前者がMoment Joon、後者がなみちえで