「作られた話」ということが分かっていても、「キャラクターは画面を飛び出してこない」ということが分かっていても、自分が大きな影響を受けざるを得ない。そのとき涙を流してすっきりして終わりにはできない。忘れたくないと思ったセリフや本気で好きになったキャラクターが誰にでもあ(り、それらが自分の現実世界での生き方に影響を与えていることも全く珍しくないはずです。)ると思います。しかしわたしたちはそんなふうに没頭してしまったフィクションの世界から離れ現実世界に視線を戻すのに大きな痛みを伴う。大好きなキャラクターは現実にはいないからです。それは作られた話であり、実際に自分に起こった事実ではないということを思い出させられるからです。 でもその痛みもまた美しいと思うときもあります。何もかも作り話だと分かっていても、それでも物語やキャラクターを本物と思いたいという矛盾した気持ちが、何が「本物」なのか、わたしが物