妻が死んだ。いつも元気な女性だった。僕と娘がいたずらしてはよく怒られていた。いたずらが過ぎて正座の刑になった時は肝が冷えた。初めは足が痛いと泣いていた娘も、たくましくなった。つい、この間の正座の刑の時など、ずっと俯いているので体調が悪いのかと見てみると、すーすーと眠っていた。大したやつだった。妻に教えてやると妻も一緒に笑った。妻は娘を抱えて部屋へと連れて行った。やれやれ。苦笑まじりに立ち上がろうとする僕に、振り返った妻は笑顔のままで言った。この子の分もあなたがやっておいてね。おかげで風邪を引いた。 そんな妻が死んだ。「ママー、ママー」 娘は妻の体を揺すっている。「ねえ、ママおきないよ?」 「ママはね、死んじゃったんだ」 「しぬ?」 「そう、死ぬ。死んだらもう起きないんだよ」 「うそだー」 「本当だよ。だからママはもういないんだ」 「うそだよ。だってママここにいるよ?」 妻を指さす娘につられ