山形県上山市の老舗、タケダワイナリーで社長を務める岸平典子さん。大学では微生物学の研究を行っていましたが、卒業後はワインづくりを学ぶため単身フランスへと渡ります。帰国後に直面したのは、跡継ぎのはずだった最愛の兄の死。先代の父との衝突も経験しながら、ワイナリーをさらに発展させるための改革を進めます。その過程で常に意識していたのは、100年以上続くタケダワイナリーにしかできない、山形らしさを大切にしたワインづくりでした。 【前編】「女の子にはできないの?」山形の老舗ワイナリーに生まれた末っ子が、女性ワイン醸造家のパイオニアになるまで 帰国後は家業のタケダワイナリーに入社し兄を手伝うという条件でフランスに留学した岸平さんでしたが、本場でワインづくりを学ぶことができる毎日は楽しく、「このままフランスに残ってもいいかな」と思ったこともあったといいます。ところが、ある日出会った1本のワインがその後の人