これは今年の頭に書いたもので、最初は作者に送るつもりでいた。しかし、気が変わり、若干の手直しをして、直接自分のブログに載せる事にした。それらの本がないとわからない部分もあるが、私も本を図書館に返してしまったので、どうしようもないのである… 最近、菊地/大谷コンビの本を――今更ですが――いくつか読みました。『憂鬱と官能を教えた学校』と『アフロ・ディズニー』です。どちらもその絶妙な語り口を「流石だなあ」と思いましたし、特に、『憂鬱』に関しては、私はこの手のことが不得意なので(正直あまり関心がないというのもありますが)、とても勉強になりました。 けれど、間違っているところも多々あります。どちらの本も「倍音」がひとつの核となって議論を進めているのですが、肝心の倍音の構造がどういうものかかが明示されていないので、いまひとつ説得力がありません。というか、言いたい事を言うのに本当に「倍音」を持ち出す必要