「権力は腐敗する」という金言があるとおり、陳水扁(ちん・すいへん)総統(台湾)も7年目(2000年5月、就任)で、スキャンダルが相次いでいる。親族がインサイダー取引を行っていたり、陳総統夫妻が機密費で裏ガネをつくっていたりしたとされる。 2006年9月9日、台北で陳総統辞任を求めるデモと集会が行われた。主催者が赤い帽子や赤いシャツで集まるよう呼びかけ、約9万人が参加した(写真)。 日本でデモや集会といえば、数百人単位。海外へ行かなければ、道路中が人で埋まるスペクタクルは味わえない。1960年、日本でも、数十万人が国会を包囲し、日米安全保障条約改定に反対したのだが。 現地で黄威勝氏(週刊誌記者)に聞いた。 「台湾では、1987年に戒厳令が解除されるまで、自由はありませんでした。もちろん政府を批判するデモなど不可能です。それどころか、蒋介石(元総統)や(1党独裁の)国民党の悪口を言っただけで死