世界のシャチが危機に直面していることが、新たな研究により明らかになった。(PHOTOGRAPH BY PAUL NICKLEN, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) シャチは群れをつくって暮らし、チームで狩りをする。ときには協力して波を作り出して、浮氷の上にいる獲物を水中に落とすこともある。この賢い海生哺乳類は、大量虐殺や漁網といった人間の脅威にもへこたれず生き延びてきた。(参考記事:「米テーマパークがシャチショーの歴史に幕」) しかし9月28日付けの学術誌『サイエンス』に発表された研究によると、世界のシャチの群れの半数以上が30~50年後に崩壊する可能性があるという。原因は、すでに禁止されている有毒化学物質だ。(参考記事:「動物大図鑑 シャチ」) ポリ塩化ビフェニル(PCB)は安定な有機化合物で、コンデンサー、塗料、冷却材などに広く使用されていたが、生体への危険性