日本の受験制度が社会におよぼす実害はなにか。感染症医の岩田健太郎さんは「理系だの文系だのという不要な区別が、若者の学びを歪ませ知性を痩せさせていく」という――。 受験制度が特に苛烈な韓国と日本 なぜ、日本でだけ(あるいは日本で尖鋭的に)「理系」「文系」の区別をしたがるのか。 私はこの最大の遠因は受験制度にあると思っている。 世界的に見て、受験制度が特に苛烈で、かつ公平性にこだわるのが韓国と日本である。他国では大学入学のための受験にここまで学生が血道を上げることはない。学生選抜の方法も多様であり、一発試験のウエイトは相対的に低い。学生選抜の方法が多様であるのは、そもそも「大学入学」が学生の目標ではないからだ。 本来、大学入学は手段であり、目的ではないはずだ。 大学入学後に行う学問こそが、学生の行いたい目標であるべきだ。だから、アメリカなどでは学部での勉強では飽き足らず、大学院に進学する者も増