この本は「ルポ貧困大国アメリカ」で一躍名を挙げた「堤未果」さんの近著(2013年6月)です。豊富な話題で、現在の病める大国アメリカの現状と、アメリカの影響を受ける世界の諸国の例が頻繁に取り上げられます。 結論から言ってしまうと、市場原理主義、新自由主義といった資本主義社会の「病巣」がアメリカと、アメリカにかかわりを持つ国々を覆っているということです。アメリカの人たちは富める1%の人たちと、貧しい99%の人たちに二極分離していますが、前者はアメリカの資本投資家(株主)が、グローバル企業(多国籍企業)に投資し、その企業がもたらす利益を独占していることに問題があります。その際、企業は違法すれすれな行為をとるか、法律そのものを変えてしまいます。そのためにこそ、有力な政治家に献金を忘れないか、その企業の代表者がまるで回転ドアを回るように政治の中枢に居座ると言う現象も起きます。(例:イラク戦争を喜々と