妻の大腸がんが発覚して1年が過ぎた。この出来事を振り返ろうとすると、どうしてもその前年に生まれた息子のことが付いて回ってくる。妻のがんと子供の誕生を並べて語るなんて、とんでもなく罰当たりなことだろうか。だが、ふたつの出来事は俺のなかで似ている部分があり、各々で“生”を途方も無いレベルで意識したのは確かなのだ。(全2回の2回目/前編から続く) ◆ 新宿ビックロで感動パンツ試着中に妻からLINE 妻の大腸がんが発覚したのは、2018年10月下旬。前夜から腹が痛いと訴えて朝早くに産婦人科へ向かった妻からLINEで「盲腸かも」と連絡が入ったのは、試写で観た『ボヘミアン・ラプソディ』の素晴らしさを噛み締めながら新宿ビックロで感動パンツを試着している最中だった。続けて「入院の可能性あり」「病院で医師の説明を聞いてほしい」と入ってきたが、こちらは“けっこうな腹痛=盲腸”以上のイマジネーションが湧かなかっ
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