同位体平衡 炭酸塩堆積物が堆積した当時の海水循環や水温を復元したり,続成環境について論じるために酸素・炭素・イオウ・ストロンチウム等の安定同位体比を測定する方法が近年頻繁に用いられている.安定同位体とは,陽子数が同じであるが,中性子数が異なる放射性でない原子である.中性子数が異なることによって,原子の化学的性質は類似するが質量数が異なるため量子学的特性に違いが生じる.この特性の違いの程度は異なる同位体の質量の比にほぼ比例する.例えば状態(相)X から Y への反応を考えるとき. IX →IY (1) IIX →IIY (2) (I, II は異なる質量数を示す).具体的に水の蒸発反応で式1, 2の反応は, 16O(水) → 16O(水蒸気) 18O(水) → 18O(水蒸気) という反応であり,より正確な形としては, H216O(aq) → H216O(g) H218O(aq) →