きっかけは病院の待合室だった。子供を病院に連れて行ったときのこと。待合室に置いてあった雑誌を何気なく手に取った。タイトルは「泣ける日本の絶景88」。その中の一枚、熊野の写真に目を奪われた。 その写真は山のいただきが何層も重なり、手前の濃紺から奥の空色まで、恐ろしく綺麗なグラデーションを描いていた。いつかこんな写真が撮りたい。そう強く感じた。 あれから5ヶ月が経ち、熊野を訪れた。名古屋から行くと、和歌山の新宮駅まで高速バスで約4時間。そこから熊野古道の入り口まで路線バスで約1時間だ。 今回歩いたのは、熊野古道の小雲取越ルート。 小雲取越は西の「小口」から登るルートと、東の「請川」から登るルートがある。私が選んだのは請川から登るルートで、目的の「百間ぐら」までは歩いて約3時間の道のりだ。 請川から登る際は入り口に注意して欲しい。和歌山観光協会の拡大マップでは、国道165号から北に曲がる道が入り