【ニューヨーク=平田雄介】ロシアのウクライナ侵攻をめぐる5日の国連安全保障理事会では、ウクライナのゼレンスキー大統領が「安保理解体か、ロシア排除か」と安保理の改革を強く迫ったが、ほぼ全ての理事国が沈黙した。拒否権を持つロシアの侵攻で機能不全に陥り、ウクライナを救済できない安保理に向かうゼレンスキー氏の怒りは、安保理を中心とする国連の平和維持構想に改めて重い課題を突きつけた形だ。 この日の会合で安保理改革に賛意を示したのはケニアだけだった。米国のサキ大統領報道官は記者会見で、ゼレンスキー氏の「不満は共有する」としながらも、「ロシアの安保理での地位が変わることはない」との見方を示した。他方、同氏が迫る改革に対し「かえって平和維持機能を弱める」との慎重意見さえある。 国連憲章は、安保理について、国際平和と安全を維持する主要な責任を有すると定める。その意思決定に拒否権を持つ米英仏中露の5常任理事国