**四本裕子さん(東大大学院総合文化研究科准教授) リケジョという言葉が嫌いだ。 日本の大学で心理学を学び、米国の大学院に留学して視覚に関する数理モデルの研究で博士号を取得した。その後、ボストン近郊の病院や医学部に所属し、核磁気共鳴画像法(MRI)を使って脳の構造や機能の研究を5年ほど続けた。現在は東京大学の理系学科に所属して、ヒトの知覚や行動のメカニズムを脳の神経活動から説明すべく、基礎研究に取り組んでいる。 私自身は、特に女性であることで困ったことや働きにくいと感じたことはない。少なくとも基礎研究の現場においては、「女性の視点」とか「女性らしい考え方」は、必要ないし意味もない。 一方で、理系の基礎研究において、女性研究者の数が少ないという事実に戸惑う。女性研究者の数が少ないということは、その分、優秀な人材が他の業界に流れているということである。 日本の女子学生たちが理系よりも文系に進路