夏休みのある日、実家を訪れたときに母の部屋の片隅の本棚に、私が小さい頃好きだった絵本が少し残って並んでいました。その中にあったのがこの本。 ロシアの文豪、トルストイの書いた「3びきのくま」です。 懐かしさで手に取りました。小さい頃この本が大好きだったからです。 ものがたりの筋としての記憶は「くまのいえに女の子が迷い込んでスープを飲んだりしちゃう」という、その程度だったのですが、鮮明に覚えているのは木のテーブルの上に並んでいる3つのスープボウルや寝室に3台並ぶベッド。 和食と畳に布団、で育った私。 スープ(だけ!)の食事や木製のベッド、そこにしつらえられたカラフルなカバーや部屋の調度品、そして寒い地方を思わせる針葉樹の森の様子…そこに描かれている、別世界のような雰囲気に魅了されていたのだろうと思います。 ページをめくりながら改めてその重厚感のある絵、一枚ずつ額に入れて飾りたくなるような、深み