歴史は繰り返される。特に沖縄の基地問題はそうだ。日本の国益、時の政権益の影で、沖縄の県益は力ずくで片隅に追いやられる。 沖縄返還交渉や普天間飛行場の返還・移設問題の節目を振り返ると、政府が対症療法のように繰り出す、基地重圧を改める約束事はほとんど機能しないまま、沖縄に混迷だけをもたらして次の局面に移ってきた。無責任と迷走の連鎖である。 仲井真弘多知事は、米軍普天間飛行場の「県外移設」公約を覆し、代替新基地となる名護市辺野古埋め立てを27日に正式承認する。移設計画が浮上して不毛の17年が過ぎた。県内移設は不可能だという教訓をないがしろにした知事によって、沖縄現代史に新たな禍根が刻まれることになる。 クリスマスの25日、首相官邸を舞台に、沖縄への誤解を増幅させる壮大な「詐術」を帯びた劇が日本中を相手に演じられた。「だまし絵」と言い換えてもいい。演出・脚本は菅義偉官房長官、演じる役者は安倍晋三首