試験監督中は教室の後ろに立ち生徒を見渡すのが男性教諭(60)の常だった。生徒は隠し事ができず、緊張感があるからだ。埼玉県戸田市立美笹中学校、3月1日正午過ぎ。その時、私服姿の小柄な少年が静かに入ってきた。空いた机に荷物を置き、手を入れている。「不登校の生徒か、卒業生が入ってきたのか」。状況を把握できなかったが、このままにはしておけない。教諭が退室を促そうと少年に近づいた時、脇腹に衝撃が走った。ナイフが少年の手に握られていた―。 教室の後方で教諭が切り付けられた時、少年の背後には生徒たちがいた。教諭はとっさに生徒の方に向き直った少年を羽交い締めにし、「先生たちを呼んできて」と叫び、生徒たちを逃がした。 教室を出た少年を追った教諭が「刃物を持っている」と知らせると、近隣の教室は生徒を守るため内側から施錠。少年に追い付き、もみ合いとなった教諭は再び切り付けられた。しかし廊下の両側から数人の男性教
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