レファレンス 2007.10 主 要 記 事 の 要 旨 EUにおける著作権保護期間延長の経緯について 南 亮 一 ① 1993年に制定された「著作権及び特定の関連する権利の保護期間を調和させる理事会指 令」は、EU加盟国に対し、著作権の原則的保護期間を著作者の死後70年までとするよう 義務づけている。 ② この指令が制定されたのは、1987年 7 月 1 日に発効した単一欧州議定書において、1992 年末までの単一市場の実現が至上命題とされ、著作権分野においても単一市場の完成のた めの制度づくりが必要とされたためである。 ③ EC委員会では当初、EC域内における著作権の保護期間の調和はそのために必要となる との認識ではなかった。しかし、1989年の「パトリシア事件」に係るEC裁判所の先決的 判決において、著作権の保護期間の不均衡が著作権分野における単一市場の完成の障壁と なると