地図の裏面に書かれていた宮沢賢治の詩の草稿=林風舎提供 今もファンの多い詩人・作家宮沢賢治(1896〜1933)が書いた未発表詩の草稿が見つかった。賢治の作品はこれまでの研究・調査でほぼ出尽くしたとされており、新たな詩が発見されたのは三十数年ぶりという。 昨年、岩手県花巻市にある賢治の生家の蔵を解体しようとした際に、はりの上に置かれていた書類の中から見つかった。5万分の1地図の裏面に鉛筆で書かれていた。筑摩書房から刊行中の賢治の全集の編纂(へんさん)委員が確認したところ、未発表の草稿と判明した。 〈停車場の向ふに河原があって〉に始まる16行の詩で〈停車場の前にがたびしの自働車が三台も居て/運転手たちは日に照らされて/…ここから横沢へかけて/傾配つきの九十度近いカーブも切り/径一尺の赤い巨礫(きょれき)の道路も飛ぶ/そのすさまじい自働車なのだ〉といった明るい光景を描いている。 全集編