忍法さだめうつし / 荒山徹 ★★★★☆ 以蒙攻倭 日本との親交を図る蒙古からの使者が執権北条時宗に拝謁したとき。突如朝鮮人通訳が剣を取り、時宗に斬りかかる事件が起こった。当然ながら交渉はそこで断絶するのだが、実はこれは、蒙古を使って倭に攻め入り支配下に置こうという高麗王諶(しん。二十五代忠烈王)の計略であった。しかし、その謀は思い通りには動かない。蒙古高麗連合軍がまさかの敗戦におよんでしまったのである。高麗王は逆に時宗の反撃に怯えることになるが、まさにその不安を的中させる知らせが王のもとに入る。北条時宗を名乗る者が単身現れ、朝鮮兵たちをなで斬りにしつつ開京へ向かっているというのだ。 忍法さだめうつし 元の威光が弱まり、高麗国にはふたたび内戦の嵐が吹き荒れている。元のくびきを逃れるべく戦っていた前高麗国王恭愍王の後を継いだ少年王禑(ぐ。諡なし。李成桂によって廃位)は、前王の死後もなお朝鮮北