フクロウを再びリンゴ作りのパートナーに――。リンゴの収穫量で全国の6割を占める青森県で、農家を悩ますネズミ退治のため、フクロウを農園に呼び戻そうという試みが続いている。かつてリンゴの木はフクロウの格好の産卵場所だったが、生産効率化をめざした低木化とともに姿を消した。高齢化が進むリンゴ農家の「救世主」として、舞い戻ってくれることに期待が高まっている。 同県弘前市の下湯口地区にある約2千平方メートルのリンゴ農園。たわわに実った木々から頭一つ飛び抜けるように、高さ約2メートルの支柱に支えられた巣箱が立っていた。今は空き家だが、「春になるとフクロウがやってきて、この中で子育てをするんです」と、地元リンゴ農家の石岡千景さん(35)。 2014年、石岡さんは近くの農家と「下湯口ふくろうの会」を結成した。フクロウの研究を続ける弘前大学農学生命科学部の東(あずま)信行教授の研究室と協力して巣箱設置を続けて