しばらくすると、長老と思しき、長い白髪の髭を持つ猿と、見るからに好戦的な猿が、それぞれ1匹、万九郎の前まで来ました。 「おぬしの強さ。まさかとは思うが、言い伝えにある、『最後に来て、解放する者』か?」 「何のことか、分からん」 「まあ良い。今から、この猿と闘ってみよ。この集落で一番の手練だ」 好戦的な猿が、ずいと前に出ました。 万九郎と、相対します。 「ん?」 よく見ると、その猿は、背中に小さな黒いバックパックを背負っています。 (この猿が、ババアの旦那か) ############################ ババアと言っていますが、40代前半くらいでした。 この猿が年上好きなら、ちょうど釣り合っています。 ############################ 猿が、予感もさせずに、動きました。 (疾い。だが・・) 一瞬後には、万九郎の右手の拳が、深々と猿の鳩尾(ミゾオチ)に、食