「監視社会」に対するネット上の反応には奇妙な印象を受ける。ある情報が、個人に対する危険性を持っているのか、あるいは社会全体に対する危険性を持っているのかということを峻別していない。そして「気持ち悪い」だとかいうような感覚的な反応をしているように見えるのである。ある情報を使って実際に何ができるのか、どのように危険なのかということを細かく考えることが必要なのではないだろうか。 ストリートビューが持っているのは、社会全体に対する危険性である。すでに指摘されているように、泥棒が街をすべて歩かなくても盗みに入りやすそうな家を探すことができる。あるいは大げさな話をすると、どこかの国の軍隊が東京を占領しようと考えたときに使えるだろう。あのデータを使えば、実戦に近い形での演習をバーチャル空間で実施できるかも知れないからである。 その一方で個人に対する危険性はそれほど大きくはない。実はストリートビューで僕の