日曜に想う 8月8日、二つの原爆の日にはさまれるように沖縄県の翁長雄志知事が不帰の人となった。全国紙5紙のうち日経を除くすべてが1面トップで伝えた(東京紙面)。一知事の死去としては異例の報道が沖縄の置かれた今を物語る。 〈八月や六日九日十五日〉 これは、多くの市井の人に詠まれてきた「詠み人多数」の俳句である。並ぶ日付が戦争の記憶のふたをあけ、祈りと誓いをよびさます。それらに6月23日の沖縄慰霊の日を加えた四つの日を、天皇陛下は「どうしても記憶しなければならないこと」として挙げている。 多くの日本人にとって、陛下の思いは胸に落ちるものだろう。今年も四つの日に式典があり、それぞれテレビで中継された。いずれも安倍晋三首相の姿があった。しかし沖縄で、広島で、長崎で、どこか義務的に参列している印象を受けたのは筆者だけではなかったと思う。 スピーチもしかりである。翁…