1日に4時間半程度しか眠れない睡眠不足が5日間続くと、うつ病や統合失調症などの患者に似た脳機能の一部低下が生じ、情緒不安定になることが分かった。国立精神・神経医療研究センターの三島和夫部長や元村祐貴研究員らが健康な20代半ばの男性14人で実験し、米科学誌プロス・ワンに発表した。 三島部長は「睡眠不足は蓄積されてひどくなるが、眠気や倦怠(けんたい)感に比べて抑うつや不安などの情動的な不安定は自分で気づきにくい。週末の『寝だめ』では回復しきれない部分があると考えられ、注意が必要だ」と話している。 実験は1日約8時間睡眠を、週の平日分の5日間続けた後と、約4時間半を5日間続けた後で比較。モニターに男女の恐怖の表情や幸せな表情などの画像を示し、機能的磁気共鳴画像装置(MRI)で脳の血流の変化を調べた。 その結果、睡眠不足の場合は恐怖の表情を見たときに、情動と記憶を担う「扁桃(へんとう)体」