亡くなった生徒が入校していた福岡市消防学校=福岡市早良区で2024年7月25日午前10時51分、宗岡敬介撮影 消防士を夢見て福岡市の消防学校に今春入学した男性(26)が7月、立ち泳ぎの訓練中に意識を失い、死亡した。同種の訓練で生徒が意識を失ったり、死亡したりする重大事故は過去10年で少なくとも2件起きており、国は各都道府県や政令市に注意喚起の通達も出していた。救助のエキスパートである複数の消防士が見守る訓練で、なぜ事故は繰り返されたのか――。 生かされなかった教訓 事故は7月9日、福岡市西区の市民プールで起きた。市消防学校(早良区)の水難救助訓練があり、入校3カ月目の初任科生53人(18~29歳)が参加。泳力に差がある生徒が同時に泳ぐと監視しにくいため、事前の自己申告や実際の泳ぎを見て5班に分け、飛び込みや溺れた人を抱えた想定での泳ぎ方などを訓練していた。泳力に応じて泳ぐ距離など訓練の難度