石飛幸三医師に取材をしながら、特別養護老人ホームが抱える様々な問題を2回にわたって考えてきた。高齢化社会が直面しているテーマで、延命治療の是非を含む難しい問題だ。口から物を食べられなくなって自ら消滅しようとしている生命に対して、最新医療技術を施術することで生命の時間延長を強制的に促すことが、果たして幸福なのか? 病院は治療や延命処置を最優先するものの、特別養護老人ホームの使命は少し違うところにある。要介護者の家族の大きな負担を軽減し、高齢者の残された時間を少しでも豊かにすることであり、そのためには「看取り」が重要になってくる。 「ホームの本来の使命は、入居者の最期の時を静かに看取ってあげることだと思うんです。ところが、私が今の施設に来た時は、看取りの数はほとんどゼロ。すぐに病院に送りこみ、そこで亡くなるか、胃瘻(胃ろう)や経鼻胃管をつけて施設に戻ります」 「必然的に看護師の仕事は増大し、大
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