「アサヒ芸能」から「週刊金曜日」まで、硬軟・左右を問わず著者の名を目にしない日はない。現況もっとも活字メディアに引きがある人物かもしれない。「外務省のラスプーチン」といわれ、鈴木宗男議員とともに激しくバッシングされていた日々が嘘のようだ。 “国策捜査”や“インテリジェンス(特殊情報活動)”など検察庁、外務省界隈の業界用語が知られるようになったのも、著者によるところが大きいだろう。 本書は、著者が責任編集を務めるウェブマガジンに連載されていた国家論を二分割してまとめたものだ。左/右巻だからといって、左/右派的な内容になっているのではない。 左巻は小泉内閣の新自由主義路線がもたらした変革など日本の事例を中心に扱い、右巻はリーマン・ブラザーズの破綻に象徴される、新自由主義が国家と社会に与えた被害、およびロシア・グルジア戦争に見られるような、ポスト新自由主義路線の国権強化について論考している。グロ