聖徳太子が厩戸のところで生まれたという伝承は、イエス・キリストが馬小屋で生まれたことと似ているとして、唐に入ってきていた景教(ネストリウス派のキリスト教)の影響だとする説があります。久米邦武が明治38年(1905)に『上宮太子実録』で説いたのが最初ですね。 この問題については、聖徳太子は架空の存在とする大山誠一説なみに粗雑で間違いが多い田中英道氏の太子礼賛本について批判した記事で触れました(こちら)。その際、キリスト教影響説を否定するなら、平塚徹氏がネットで「イエスは馬小屋で生まれたのではない」と説いていることを証拠とした方が良いのではないかと読者が指摘してくれたのですが、その平塚氏のネット上の文章が詳細な論文となりました。 平塚徹「日本ではイエスが馬小屋で生まれたとされているのはなぜか」 (『京都産業大学論集:人文科学系列』51号、2018年3月、こちら) です。 言語学者である平塚氏は
