経済のプリズム No113 2013.6 11 組織経営の古典的著作を読む(Ⅰ) ~チェスター・I・バーナード『経営者の役割』~ 財政金融委員会調査室 小野 伸一 (全体の序言) 古今東西を問わず、 人が集まれば組織ができ、 組織にはリーダーが出現する。 そして、成長し、持続する組織やそのリーダーには、それに見合った論理(ロ ジック)があるといってよい。本稿はこの論理、経営用語にひきなおせば有意 な組織論、管理論、あるいは戦略論について考えることを目的としている(以 下では「組織経営」と総称する) 。 組織経営を考える場合には、大きく2つアプローチの仕方がある。一つは、 さまざまな組織やリーダーのケーススタディを行い、そこから一般化、普遍化 を試みるやり方、もう一つは(先行して行われた)一般化、普遍化の試みをも とに考察していくやり方であり、前者は帰納的手法、後者は演繹的手法という ことも